日本では昔から、米・麦・粟(あわ)・稗(ひえ)・豆(大豆)を「五穀」と呼び、これらの作物をとても大切にしていました。現在でも収穫期の秋には「五穀豊穣」を祈る行事が全国で行われています。
お正月にかかせない「おせち料理」にはいっている黒豆。色は違いますが大豆の仲間である黒大豆です。「今年もまめ(豆)に暮せますように」という願いがこめられています。
2月の節分は、寒い冬を終えて春を迎える前に一年間の邪気を払う行事です。 当て字で「魔滅(まめ)」とも使われていたように、大豆には災いや病気などの「魔を滅ぼす」力があると考えられていました。節分の夜に「鬼は外、福は内」と、煎った大豆をまいて魔よけ・鬼払い・厄払いをした後、年齢の数だけ煎った大豆を食べます。
旧暦の9月13日のお月さまのことを「豆名月(まめめいげつ)」、あるいは「栗名月(くりめいげつ)」と呼んでいます。農作物の収穫に関連する行事として伝えられてきました。昔の人はおいしい作物を提供してくれる自然への感謝の意を込めて、名月に例えていたのでしょう。
夏には、大豆を青いうちに収穫した爽やかな緑色の枝豆や、食欲のない時でもおいしく栄養を摂れる冷や奴。冬には、焼き豆腐、厚揚げ、きんちゃくなどが入ったおでんが身体を暖めてくれます。 大豆は、今でも私たちの生活や食事と深い関わりがあります。