「良い睡眠は道具から」! 不安を抱えがちなこの時代こそ、良質な眠りの習慣を

身体と心の健康に必要な、正しい休息のススメ

– 日本睡眠科学研究所認定スリープマスター/スリープショップ札幌 & Free 川島 美奈子さん

沢山の病院やクリニックが集まる、北海道札幌市の中心から少し西側の区域。そんな医療の街に位置する「スリープクリニック札幌」の一角に、ユニークな寝具&快眠グッズショップ「スリープショップ札幌 & Free」があります。今回はスリープショップ札幌 & Freeの運営を務める、日本睡眠科学研究所認定スリープマスター・川島 美奈子さんにインタビュー。
時節柄不安を抱えがちになるなか、いかに良く眠るかお悩みの方も多いでしょう。眠りのアドバイザーとして活躍してきた川島さんに、心身の休養とリラクゼーションについてたっぷりうかがいました。

1.「質の良い睡眠」がとれていると、人の体調や心理にどんな好影響があるの?

──今日はよろしくお願いいたします。2020年代に入って社会不安を感じる機会も増え、眠りのお悩みを抱える方も多いかと思います。まずは、人が「よく眠れている」とはどんな状態を指すとお考えですか?

川島さん(以下川島):よろしくお願いします。まず、質の良い睡眠とは「ぐっすり眠れること」です。人は1度の睡眠時間のなかで浅い眠りと深い眠りを繰り返すことが特徴ですが、睡眠の質を上げるには適したタイミングで「深く眠れる」ことが大切です。必要以上に長く眠るというより、個々に合った睡眠時間の中でいかに「深く眠る時間」が取れているかがポイントですね。
人は眠っている6~7時間の間に、深い眠り「ノンレム睡眠」と浅い眠り「レム睡眠」を、それぞれ約90分ずつ交互に4~5回繰り返すといわれています。そのうち、深い眠りである「ノンレム睡眠」が、「脳を休ませ回復させる眠り」とされています。
また眠っている6~7時間のうち、眠り始めの3時間までが最もぐっすり眠れる時間帯で、この間に脳を集中的に休めているともいわれています。脳をしっかりと休息させるには、入眠後3時間の睡眠の質をより高められるようにすると良いでしょう。

──なるほど。ぐっすり眠れることが、具体的な健康状態・心理状態などのコンディションに与える影響はどのようなものでしょう。

川島:どなたも丸1日生活すれば、脳が疲れを感じてしまいます。実は、この「脳の疲れ」を取る手段は眠ることだけです。眠って脳の疲れをしっかり取らないと、注意力や判断力、仕事や家事の作業効率などに影響してしまうかもしれません。眠りの質向上が、心身全般の「やる気」を生むというと分かりやすいでしょうか。
また睡眠中は、成長や代謝にかかわるホルモンが分泌されます。その中の成長ホルモンは深い睡眠時に分泌され子どもの成長だけに影響するものではなく、すべての人の細胞の修復、代謝、免疫力などにかかわってきます。ぐっすり眠れる習慣がついていれば、身体も心も安定した状態に保てるということです。

──ぐっすり眠ることが免疫力にも良いとなれば、今こそ良い睡眠を実践するときかもしれませんね。

2.眠る道具が眠りを変える! 沢山ある寝具から、自分に合うものを選ぶ大切さ

──次に、川島さんの専門分野である「寝具選び」や、寝室の環境を整えるポイントについて教えてください。

川島:良い眠りに寝具が最も関わってくるのは「良い寝姿勢(寝ている状態での姿勢)」を保つという点です。人の理想的な寝姿勢は、立っているときと同じ「横から見て背骨がS字型を描く状態」が朝まで保たれることと考えています。
眠るために横になったとき、敷布団の性質によっては腰が沈み込み、きれいなS字カーブを保てない可能性があります。寝具の中でも、敷布団は良い寝姿勢の維持に深くかかわる大事なものです。

──体重を長時間支える敷布団が大事なことは、確かに納得です。良く眠るための道具として「枕」もよく取りあげられますが、枕選びのポイントはどこでしょう。

川島:枕も、寝姿勢の維持に深くかかわります。市販の枕を使われている方が多いと思いますが、先にもお話した「背骨のきれいなS字カーブ」を保って眠るには、枕の高さも大事になります。
市販の枕の高さが偶然ご自身にぴったり合えばとてもラッキーですが、思うようにいかないケースが大半かと思います。今以上にぐっすり眠りたいとお考えなら、ご自身に合う高さを測定して枕を選ぶことをおすすめしたいですね。

──枕を選ぶとき、材質を気にする人も多いと感じます。川島さんがおすすめする材質はありますか?

川島:枕の材質は、綿やパイプ、そば殻などとにかく種類が多いんです。つまり枕の材質にも、人それぞれ合うものがあるということ。素材は「実際に枕を試してみて、どの材質の枕が1番気持ち良いと感じるか。」で選ぶと良いでしょう。

──なるほど、ありがとうございます。ぜひ参考にしたいと思います!

3.日常生活の3要素、衣・食・住と眠りとの関係は?

──室内環境や衣服選び、食事など「衣・食・住」で、ぐっすり眠るために大切なポイントはありますか?

川島:真夏など、夜暑く寝苦しいと感じる地域も多いですね。就寝時エアコンの使用を控えられる方もいらっしゃるのではと思いますが、不快に感じる暑さはかえって良くありません。寝る時の適温(28℃程度)に設定し、冷風が直接身体にあたらない工夫で快適に眠れますので、エアコンを適宜使うこともおすすめです。
パジャマは、身体を締め付けないもの。着ていて楽で、肌触りの良いもの、汗をよく吸う素材のものにしましょう。
次に睡眠と食事の関係ですが、眠りのホルモン「メラトニン」はしあわせホルモンと言われる「セロトニン」という物質から作られます。セロトニンの原料となるのは「トリプトファン」というアミノ酸、トリプトファンは人間の体内で生成できません。その意味でも、バランスよく食べて必要な栄養素をとることは大事。ちなみに、トリプトファンを多く含む食物は赤身肉や魚、大豆製品、ナッツや乳製品などです。

──ちなみに、寝室の明るさやインテリアなど環境の工夫で、睡眠の質も上げることはできますか?

川島:人の身体には「体内時計」と呼ばれる1日のリズムがありますが、実は体内時計でいう1日は「25時間前後」だといわれています。24時間ちょうどよりも、ちょっとだけ多いんです。毎朝目覚めて光を浴びたり、外部からの刺激でリセットされます。光の浴びやすい場合は遮光カーテンを使う、取り込みにくい場合は早めに外に出て光を浴びる工夫をしましょう。「布団の中の温度」も大切ですね。布団の中の温度が快適であることも、良い眠りに深くかかわります。掛け布団も温度調整に大事なアイテムなので、お部屋の中の環境に合わせて厚みや材質などを選びましょう。季節が変わったら、お布団の衣替えも忘れずに!

──ありがとうございます。まさに「良い睡眠は良い道具から」ですね。

川島:それです、それです(笑)。ぜひ強調してご説明したいところですね。

4.眠りのお悩みに寄り添ってきた川島さんご自身の、よく眠る秘訣とは?

──ここからは、川島さんご自身の眠りについてお伺いします。よく眠るために、暮らしに取り入れているものはありますか?

川島:最適な体温で眠るために、入浴とお風呂上がりの時間の使い方を工夫しています。毎日ゆっくり入浴し、上がってからストレッチをします。入浴後少し時間を空けることで、眠りに最適な体温になるタイミングが計れます。個人差はありますが、私の場合入浴後120分ほどで眠るのがちょうど良いですね。

──日々のストレスが眠りを邪魔しないよう、何か対策をされていますか?

川島:忙しい朝に着るものや持ち物に悩んだり、忘れ物をしたりすることは意外にストレスを生みます。私は翌日の衣服や荷物を、夜寝る前に用意するよう心がけていますね。ぐっすり眠るためにリラックスは欠かせませんが、リラックスとは気持ちのテンションを上下させず平常心を保つこと。ストレスの原因や悩みを極力減らせば、よりリラックスした状態に近づけられます。

──ありがとうございます! 忘れ物防止も兼ねて、ぜひ実行したいです。

川島:自分で身体のメンテナンスをしっかりすることも、ストレス低減におすすめです。お風呂上りのストレッチ後、じっくり時間をかけてボディクリームを塗るなども良いですよ。

5.不安で眠れない……悩みがある時も、自分を大切にしよう

──最後に、最近の世相の変化などで眠れない夜が増えたと感じる方も多いと思います。悩みや心配事があるとき、気持ちを落ち着かせる良い方法を教えて下さい。

川島:つい不安を感じたり、世の中に憤りがこみ上げたりする機会が増えたかもしれません。そんな時に私自身が取り入れて効果的だったのは「深呼吸」でした。深呼吸のやり方は数多くありますが、ご自身に合う方法が良いでしょう。
深呼吸は最近話題の「腸活」にも役立つといわれ、地味ながら利点が多いんです。何かに集中して嫌なことを忘れるという意味でも、気持ちを一区切りできる有用なリラクゼーションだと思います。

──アロマなど香りの活用も、安眠に良いと言われますね。

川島:アロマではリラックスする作用がある香りの中からどの香りというより、ご自身が好きな香りが良いと思います。「いい香りだなー」と感じるものがオススメです。せっかくの香りも、好きじゃないとストレスかもしれないので(笑)。アロマはもちろん、先にも話したようスキンケアやボディケアなどで自分を労ってリラックスしましょう。何十年と毎日頑張る、自分の身体や心を「えらい!」と褒めてあげてくださいね。

数多くの方へ寝具を選んできた川島さんのモットーは、「睡眠は道具から」。特定のものや単に高級なものにこだわらず「その人に合う寝具」を提案し続けています。
今回訪問した「スリープショップ札幌 & Free」の店内も、睡眠外来専門医院併設という特徴的な立地ですが、木目の什器が目に優しく印象的。枕や敷布団をゆっくり試せる、カジュアルながら落ち着いた雰囲気です。
川島さんのハートフルなお話は思わずぐいぐいと引き込まれ、ずっと聞いていたくなってしまうほど。心配事や悩みを忘れ、ホッとさせてくれるインタビューをありがとうございました。

スリープショップ札幌 & Free
〒060-0042
北海道札幌市中央区大通西15-1-10
ITOメディカルビル札幌 2階
011-632-4705
https://www.nemurikata.com/sleep-shop/
kawashima@sleep-t.com

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